東京都労働相談情報センター

労働者派遣講座

このサイトについて
労働者派遣講座 > 派遣元の方へ > 【4】労働者を派遣するとき Q22 雇用安定措置義務

労働者を派遣するとき

雇用安定措置義務
解説

1. 雇用安定措置義務の対象者

雇用安定措置義務の対象者となるのは、同一の組織に継続して3年間派遣される見込みがある有期雇用の派遣労働者であって、当該派遣先の派遣就業が終了した後も働き続けることを希望する者です。

2. 派遣先で直接雇用されなかった場合、派遣元事業主による無期雇用義務があるか

派遣元事業主は、次の①~④のいずれかの措置を講じなければならず、①の措置を講じた場合であって、派遣先が直接雇用に応じなかった場合には、さらに②~④のいずれかの措置を講じなければなりません。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
  2. 新たな派遣先の提供
  3. 派遣元事業主による無期雇用
  4. その他雇用の安定を図るために必要な措置(新たな就業の機会を提供するまでの間に行われる有給の教育訓練や紹介予定派遣の対象とすること等)

派遣元事業主は、派遣労働者が希望しても、③の派遣労働者以外の労働者として無期雇用しなければならない措置義務まではありません。

ただし、無期雇用しない場合には、上記①又は②の措置を講じなければなりません。

(派遣法第30条第2項)

3. 派遣元指針の定め

  1. 派遣元事業主が、雇用安定措置の実施義務を避けるために、業務上の必要性等なく同一の事業所当における同一の組織単位(課、グループ等)で継続して派遣労働に従事する期間を3年未満とすることは、労働者派遣法の趣旨に反する脱法的な運用となり、義務違反と同視されますので、厳に避けなければなりません(派遣元指針第2の8(2)イ)。
  2. キャリアコンサルティングや労働契約の更新の際の面接等の機会を利用し、又は電子メール等を活用すること等により、労働者派遣の終了後に継続して就業することに希望の有無及び希望する雇用安定措置の内容を把握しなければなりません(派遣元指針第2の8(2)ロ)。
  3. 派遣労働者が派遣元事業主に対し、直接雇用の申込みを依頼する場合、派遣元事業主はそれが実現するよう努めなければなりません(派遣元指針第2の8(2)ハ)。直接雇用の依頼は、書面の交付等によることが望ましいとされています。
    また、雇用安定措置を講ずるに当たっては、労働者派遣の終了の直前ではなく、十分な時間的余裕をもってこれに着手しなければなりません(派遣元指針第2の8(2)ニ)。

(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)

解説