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第4 キャリアアップ措置

1 概要

派遣元事業主は、雇用している派遣労働者のキャリアアップを図るために、段階的かつ体系的な教育訓練の実施及びキャリア・コンサルティングの実施をすることが義務付けられます。(派遣法第30条の2)

2 段階的かつ体系的な教育訓練の実施義務

段階的かつ体系的な教育訓練は、「キャリア形成支援制度」として策定された教育訓練計画に基づいて行わなければなりません。また、派遣業の許可基準に「キャリア形成支援制度」を有することが追加されています。(第2の4)

キャリア形成支援制度の具体的内容

派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成のために、次の(1)~(4)が義務付けられます(厚生労働省告示第391号)。

(1)派遣労働者のキャリア形成を念頭においた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めていること。

教育訓練の内容として、教育訓練が有給かつ無償で行われるものであること等が定められています。

(2)キャリア・コンサルティングの相談窓口を設置していること。

相談窓口は、雇用するすべての派遣労働者が利用できること等が定められています。

(3)キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続が規定されていること。

事務手引、マニュアル等が整備されていること等が定められています。

(4)教育訓練の時期・頻度・時間数等

派遣労働者全員に対して入職時の教育訓練は必須であることや、実施時間数については、フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会を提供すること等が定められています。

3 キャリア・コンサルティングの実施義務 

希望者に対するキャリア・コンサルティングの実施が必要です。相談窓口の担当者は、資格を必要とするものではありませんが、キャリア・コンサルティングに関する知見を有することが求められます。

4 教育訓練、キャリアアップ措置に関して派遣元事業主が講ずべき措置 〈派遣元指針第2-8-(4)・(5)〉

(1)教育訓練措置義務、機会確保努力義務

派遣元事業主は、教育訓練等の措置を講じなければなりません。また就業機会と密接に関連する教育訓練の機会を確保するよう努めなければなりません。

(2)教育訓練計画

派遣元事業主は、教育訓練を実施するに当たっては、厚生労働大臣が定める基準に規定する教育訓練計画(以下「教育訓練計画」という。)に基づいて行わなければなりません。

(3)周知努力義務

派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、労働契約の締結時までに教育訓練計画を周知するよう努めなければなりません。

(4)受講配慮義務

派遣元事業主は、雇用する派遣労働者が教育訓練計画に基づく教育訓練を受講できるよう配慮しなければなりません。

(5)自主的教育訓練

派遣元事業主は、実施を義務付けられた段階的かつ体系的な教育訓練に加えて、更なる教育訓練を自主的に実施し、その訓練についての派遣労働者の費用負担を実費程度とすることで、受講しやすくすることが望ましいです。

(6)書類保存努力義務

派遣元事業主は、当該派遣労働者に係る教育訓練を行った日時及びその内容等を記載した書類を保存するよう努めなければなりません。

5 教育訓練等に関して派遣先が講ずべき措置 

(1)派遣先労働者と派遣労働者との均衡

派遣先は、その指揮命令の下に従事させる派遣労働者について、派遣元事業主からの求めに応じて、当該派遣労働者が従事している業務と同種の業務に従事する労働者が従事する業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、派遣労働者に対しても、これを実施するよう配慮しなければなりません。(派遣法第40条第2項)

(2)派遣元事業主との協議、協力等の努力義務

派遣先は、(1)の他に派遣先が教育訓練を実施するに当たり、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主と協議等を行い、派遣労働者が当該教育訓練を受講できるよう可能な限り協力するとともに、必要に応じた当該教育訓練に係る便宜を図るよう努める義務があります。〈派遣先指針第394号第2-9-(3)〉